牧野植物園


妻と高知までドライブに行く。行き先は牧野植物園である。牧野植物園の名は小さい頃より知っていたから,小学校の修学旅行で行ったのかもしれないが,あまり記憶に残っていない。したがって,今回の訪問が初めての訪問のようなものである。

高速道路のいくつものトンネルを潜り抜け,高知までやって来た。地図で見ると,牧野植物園は五台山の頂上付近にあるようだ。高知市内から五台山の頂上へ,車1台通れる幅の道を登っていく。これじゃあ対向車が来たら避ける所がないよねえ,と妻と話しながら登った。後で知ったことだが,この道は一方通行で,降りる道は別にあるのであった。

駐車場で車を停め,牧野植物園正門に進む。正門前の歩道の両側がすでに植物園になっているようで,普段見る雑草,雑木にひとつひとつ名札がついている。あまりにも多い名札であるので,ひとつひとつ見ることができない。すこし圧倒された気分で,漠然と見ながらチケット売り場に進む。

入ると,牧野博士の業績の展示場がある。また,さまざまな植物の模型が置いてある。蜂が花の蜜を吸うとき,どのような仕組みで植物が蜂の体に花粉をつけるか,その仕組みを説明する模型が置いてあって,妻がこれは面白いと,にぎやかに言っている。

通路を進むと,通路の横の石垣沿いに,日陰で,湿潤を好むいろいろな植物が植えられている。通路を過ぎ,薬草園の方に降りる。桜がきれいに花を咲かせている。こんな時期にも咲くのだなあと思いつつ,名札を見るとジュウガツザクラとある。なるほど,秋に咲く桜である。

いろいろ名札と草木を見比べながら進むと,タチバナという植物が目についた。たちばなという姓の友人がおり,たちばなという植物がありそうだなあと前々から思ってはいたが,かんきつ類の植物であったとは意外であった。

道の片隅に紫色の花が咲いていた。名札を見ると,ハナトリカブトとある。あの猛毒の植物がこれなのかと思いながら,可憐な花を眺めていた。

道の脇にランの展示場があった。入るとどれも大変地味なランが展示されている。野生のランとはまさにこのようなものかと感心した。中でも一番立派なランがあり,そのランには泰山という名がついていた。泰の一字を名の一部に持つ我が娘の地味さとこのランの地味さがぴったりだと,妻と余計な冗談を言いながら,散策した。

温室に入ると,沙羅双樹の木があった。沙羅双樹に思いを寄せつつ,暖かい温室を一巡した。

牧野博士展示場 → 日陰植物 → 薬草園 → ラン展示場 → 温室

(2018年11月3日 土曜日 晴れ)