3度目の入院

めでたく手術が成功し,退院できたのに,退院の3日後に再び病院に戻って来た。

退院した日とその次の日は調子もよく,ブログをアップしたりしていた。久しぶりに自宅の風呂に入り,体がすこし冷たくなっていたため,長湯をしてしまった。

次の日から急に動けなくなった。寝ていて,トイレに行くのがやっとである。

夕方になると布団に寝ていても気が遠くなる。妻が心配して血圧や体温を計ってくれる。

血圧はいつもより低い。体温は平熱である。脈拍だけが78になっている。ペースメーカーを入れているからいつもは70であるのに脈拍だけが異常に速い。呼吸はゆっくりとしていて苦しくない。しかし体は動かない。

妻とやっと会話できる状態で話していると,自然と涙が出て来た。死ぬ前に,話はできないが涙が出て最後の会話になったというのをよく聞くので,ひょっとしてもうこれで終わりかもしれないと思い,妻に今までの人生のお礼をいった。

翌日,すこし楽になり,病院へ行く。担当医に話をすると,血液検査,胃カメラ検査をした後,再入院となった。

ヘモグロビン量が極端に減少していたようである。入院し,2度の輸血をして,すこし落ち着いた。

その後,40度を超える熱が出て,抗生剤の点滴を受けるなど,なかなか平常状態にならなかったが,今日になってやっと楽になった。

この間,子供達や弟夫婦が心配して見舞いに来てくれて,ありがたかった。

(2020年2月25日 火曜日 晴れ)

落ち着く

入院して28日目である。手術前後はしんどい状態が続いていたが,なんとか落ち着いたところまで来た。食事も重湯(おもゆ),3分粥(かゆ),5分粥と段階を踏んできた。退院も近い気がする。

便はまだ固形のものが出ず,便所に行くたびに水便になる。真っ黒の水便になることが多い。胆汁の液がそのままの形で出ているのであろう。水便が治(おさ)まらない限り,退院は難しいのかもしれない。

体の痛みはほとんどなくなった。点滴も1本だけになった。体調が良くなった分,小さな痛みが気になるようになった。贅沢(ぜいたく)な悩みである。

(2020年2月12日 水曜日 晴れ)

手術前

入院して17日目である。それなのにまだ十二指腸の詰まりの処置ができていない。処置の方法は決まっていて,十二指腸バイパス手術をすることになっている。

最初,1月30日に手術予定があったが,手術する前に少し熱が出て,その対策のために抗生剤の点滴を受けた。抗生剤の点滴は前の肺炎のときに受けたものと同じもので,そのときは副作用がほとんどなかったのに,今度は副作用がひどく出た。そのために手術ができなくて,延期になったのである。

延びた手術は2月5日にやっていただけることになった。今度こそ,体調を万全にして手術を受けたいと思っている。

体調は今のところいいのであるが,少し心配なところもある。血圧がここ2,3日異常に高い。またくしゃみや鼻水が出るようになった。

無理せず,心静かにすごそう。

(2020年2月1日 土曜日 曇り)

オムツ

入院して3日目にお粗相(そそう)をしてしまった。栄養缶を飲みだしたため,腸が動き出し,病床からトイレに行く最後でがまんできなくなり,パンツに便を出してしまったのである。

実は家にいるときもたまに便をパンツに付けることは時々あったから,お粗相をすることは仕方なしと思ってはいたが,その時のお粗相は自分でも手に負えないものになっていた。

トイレの便器に座り,パンツの中を覗くと,トイレットペーパーでちょいとふいたら取れるという量ではない。これはダメだと観念し,非常呼出のボタンを押す。看護師さんが2人かけつけてくれて,やさしい言葉であと始末をしてくれる。妻も来てくれて,何とか浴室で体についている便を洗う。妻と看護師さんに感謝である。

それからは,ずっとオムツ着用である。

実際にオムツをはいていると,思ったよりもずっとはきごごちがよい。これからは,ありがたくオムツのお世話になろう。

(2020年1月30日 木曜日 晴れ)

最後の食事

入院してからたまっていた胃の内容物をチューブで外に出してもらい,吐き気はおさまった。食事は栄養缶のみになった。胃ろうで入れる栄養缶と同じものである。バニラ味が付いていて,飲みにくい。

それが4日ほど続き,再び夜中に吐き気がし,一晩中,ベッドの上で嘔吐した。吐き出した内容物は余り多くなく,胃の中にまだだいぶたまっているようであった。朝,看護師さんに再びチューブで胃の内容物を出してもらい,吐き気はおさまった。

その後2,3日,再び栄養缶を飲んでいたが,手術の準備のため今度は栄養をすべて点滴で摂ることになった。

そのとき感じたのは,ひょっとして最後の食事の時期をもう既に逸(いっ)したのではないかということであった。

特に何が食べたいというのではないが,普通の食事がもうできなくなっているかもしれないという思いが強くなり,後悔した気分になった。

食事が生きるたのしみのすべてではないが,大きな部分を占めていたなあとつくづく思うのである。

妻が,手術がうまくいったらまた食べられるから,食べたいものを考えておいてと言ってくれる。それを励みにしよう。

(2020年1月26日 土曜日 曇り)

再入院

正月前に肺炎で入院したばかりなのに,再び入院するはめになった。低残渣食にして食べていたつもりだったが,気分がいいと図に乗って低残渣食でないものにも手を出してしまった。その結果,嘔吐しても吐き気が止まらなくなり,2日間何も食べられない状態になった。

妻が心配してくれて,病院に連絡し,急患で受診し,そのまま入院となったしだいである。

入院する前に体がだいぶ弱っていたため,入院しても寝ているばかりであったが,今日になってようやく体調が戻って来た。

子供たちや親類の皆さんが心配してお見舞いに駆けつけてくれた。うれしい限りである。

明日,院内カンファレンスがあり,たぶんどのように十二指腸の詰まりを解消するか,結論がでるはずである。

静かに待っていよう。

(2020年1月20日 月曜日 晴れ)