おむすび山の起源


飯野山(いいのやま)や昨日訪れた爺神山(とかみやま)は香川県の山の地形を特徴づけるおむすび山である。どうしてこのようなおむすび山ができるのかを調べた。

おむすび山の下半分は花崗岩(かこうがん)でできており,上半分は安山岩(あんざんがん)でできている。花崗岩,安山岩はともにマグマが固まってできた岩である。硬度は花崗岩の方が大きいが,花崗岩は風化するとまさ土(ど)という黄土色(おうどいろ)の砂状の土に変わる。私たちは小さいころよりこの土を山土(やまつち)と呼んでいた。山に登ると山の表面がこの土で覆われていたからである。

地下のマグマがゆっくり固まって花崗岩になり,それが隆起して地表に現れた。その花崗岩の隙間に新たなマグマが噴出し,急速に固まって安山岩になった。そして,安山岩,花崗岩が雨によって浸食されると,鉛筆の先のような山の形が残ったのである。鉛筆の芯が安山岩である。

飯野山に登ると最初黄土色の脆い山土を目にするが,中腹あたりで黒っぽいギザギザの石に変わる。爺神山も同じような構造である。

爺神山に行ってたいへん残念なのは,東半分が中腹から頂上まできれいさっぱり削り取られていて,無残な姿を残していることである。このような状況は天霧山でもみられた。採石業者が日本の高度成長期にセメントの砂利として山を削ったのであろう。削った部分はすべて安山岩の部分である。

異様な山の姿を見て,今は誰もが憤慨するに違いないと思うのだけれど,その時には誰もそのことには関心を持たなかったのかもしれない。

(写真は爺神山の遠景である)

(2019年12月5日 木曜日 曇り)