懸賞応募

職場を退職してから,さてこれから何をしようかと思案していた時期があった。後で考えると日常結構やることが多いのであったが,そのときは毎日手持ち無沙汰になってしまうと困るという強迫概念にとらわれていた。そこで新聞や地域紙の娯楽欄にある懸賞に応募してみようと考え,毎日せっせと応募した。

結果はことごとく当たらず,徒労に終わった。唯一当選したのがサッカーJ2の地元チームの観戦券で,これは夫婦して見に行った。懸賞応募などしたってしょうがないと悟り,しばらくするとそのような行動はしなくなった。

ところが先日,見慣れぬ化学メーカーから封書が届いた。なにかなあと不振に思いつつ開いてみると,大相撲大阪場所の升席招待の手紙であった。こんな会社の懸賞に応募したことあったかなあと疑(うたぐ)り深い目でその封書を眺めていたが,そうそう,農協の肥料のパンフレットにその懸賞の募集があったことを思い出した。

大相撲大阪場所は3月なので日にちや升席の位置は決まっておらず,追って決まり次第連絡するとのことである。さらに弁当やおみやげ付きでしかも交通費の一部もいただけるとのことである。これには驚き,妻ともども喜びの声を上げたのであった。

実は11月に次男の結婚式があり,今の病気の進行状況次第では結婚式に出席できるかどうか,妻と夜な夜な相談していたところであった。ところが人間,現金なもので3月に大阪場所を見に行けると考えると,負の考えが吹っ飛び,3月まで元気で居れるという根拠のない自信が湧いてきたのである。これには自分でも驚いた。

そうすると又吉直樹の「人間」が10月10日に発売になるというニュースもえらくポジティブにとらえることができた。これからが楽しみである。

(2019年8月13日 火曜日 晴れ)