十九丁から香西口まで
十九丁は白峰寺(しらみねじ)ルート,根香寺(ねごろじ)ルート,国分寺ルートの分岐点である。最初,白峰寺から根香寺に行き,そこから十九丁に折り返し,国分寺に下るルートを考えていたのであるが,十九丁に着いたのが12時を過ぎており,これでは根香寺から折り返して,国分寺に行くのは無理だなあとの思いが強くなりだした。
遍路みちを進むと,車道に出,その横に中山休憩所があった。りっぱなトイレがあり,座れる休憩所があるが,展望所タイプの休憩所であるため,壁がなく,今日の強い風がまともに当たる。人っ子一人いない休憩所でサンドイッチをひとつ食べ,出発する。
車道をすこし進むと再び山道がある。この山道は車道のすぐわきにあるらしく,あまり森らしく感じられない。そうこうしていると,根香寺に到着した。
根香寺の脇には牛鬼の大きな像がある。根香寺の参道の石段を登ると,白峰寺で出会った人が前から降りてくる。こんにちはと挨拶を交わす。
本殿に進むと,本殿に行く通路は回廊になっており,回廊は真っ暗闇で,ほのかに灯篭がともっていて,神秘的な雰囲気を醸し出している。
根香寺を後にし,遍路みちを進む。根香寺からの遍路みちは本当に急峻な道になっており,つづら折りがずうっと続く。下りながら,ここを登ってくるのは大変だなあと思う。
山里に近づくと,遍路みちの片側の土が掘られている跡をよく見かけるようになった。猪の掘った後だなあと想像しながら,下る。山里の畑と山道の間には猪除けの柵がしてあり,そこを通り,ミカン畑に入る。
12:10 十九丁 → 中山休憩所 → 13:30 根香寺 → 猪除けの柵 → 15:00 香西口
根香寺の前にはつぎのような案内板がある。
山の中の寺・根香寺(ねごろじ)
根香寺は,急坂を登りつめた青峰山(あおみねざん)中腹にある,弘法大師により開基された,木立の中のお寺です。なぜ,このような険(けわ)しい山の中に建てられたのでしょうか。
奈良時代の仏教は,鎮護(ちんご)国家を目標としていましたが,平安時代になると仏教は,祈(いの)りやまじないが実現する不思議な力を得ようと,苦しい修行を重んじるようになりました。そのため,明るく華(はな)やかな場所でなく,人里離れた山の中にお寺を建て,山中を修業(しゅぎょう)の場としたのです(このような仏教のあり方を,山岳(さんがく)仏教といい,このようなお寺を山岳寺院といいます)。
お寺の境内(けいだい)に静かにたたずみ,自分の心を見つめてみましょう。また,ここは山の中です。目を閉じ,鳥の声,虫の声などに耳を傾けてみましょう。
今から約450年くらいの昔,このあたりに人間を食べる恐ろしい怪獣,牛鬼が棲(す)んでいて,人々を大変困らせていました。そこでこの地方の村人は,山田蔵人高清(やまだくらんどたかきよ)という弓の名人に牛鬼の退治を頼みました。高清は根香寺の本尊(ほんぞん)である千手観音(せんじゅかんのん)(重要文化財)に願(がん)をかけ,そのおかげで牛鬼を見つけ出し,見事に退治したそうです。
そして,怪獣の角を根香寺に奉納(ほうのう)し,その菩提(ぼだい)を弔(とむら)ったと伝えられています。
2016年7月 香川県・環境省