在日

今日は病院でCT撮影を受ける日である。

ここ一週間ほど下痢が続き,微熱が出ていた。そのため,用心をしてなるべく床に臥せる時間が多くなっていた。

インフルエンザの予防接種は先週,医院に予約して受ける予定であったが,微熱が引くまで待とうということで,微熱の引いた昨日予防接種を受けた。予防接種の副作用のせいか,お腹が疼き,寝ていて急に胃の内容物をもどしそうになる。そのときはいそいでトイレに行き,便座に口を向けて吐く用意をするのであるが,つばのみが出るばかりで内容物は出てこない。そういうことを昨日の夕方から今朝まで繰り返していた。

病院に行く頃にはすこし気分がよくなって,無事CT撮影を受けることができた。

姜尚中(かんさんじゅん)の「在日」という本を図書館から借りて,今日読了した。以前ならばこの本はあまり手にしたくない本であった。在日という差別の歴史が記述されていることが予想できるので,読むのにつらい気持ちになるだろうと思ったからである。

ただ,そういう差別の中で姜尚中がなぜ早稲田大学に進めたのか,なぜドイツに留学できたのかについては興味があったので借りることにしたのである。

読んでみると少年時代の苦難は想像どおりであったが,意外と経済的には多少の余裕があるように感じた。また,ドイツ留学のいきさつについての記述は面白く読んだ。

この本でもっとも納得いったのが自分を在日の民から東北アジアの民へと昇華していくところである。知識人として日韓問題だけでなく,さまざまな問題にコメントしていく過程で,自分の立場をどうあるべきか考察するあたりは参考になる。

姜尚中が影響を受けたエドワードサイードの「わたしはときおり自分は流れつづける一まとまりの潮流ではないかと感じることがある。」という言葉は,福岡伸一が述べている生命の動的平衡を社会にまで広げた概念であると読め,面白く感じた。

国というくくりでなく,人間や物質,思想のおおきな流れを東北アジアの歴史として記述した歴史書が出ないものかと期待し,そのような書物が出たときはぜひ読んでみたいと思った。

(2019年10月24日 木曜日 雨)